NHK伊香保俳句大会 秀作「懇ろに~」S氏

未曾有の爪痕を遺し梅雨明けとなりました。 いよいよ夏本番、23日は24節気の内の「大暑」、1年で最も暑い日とされます。皆様体調管理には万全を! 丁度3週間振りの「俳句便り」です。

NHKが全国の各自治体とタイアップする全国俳句大会。年に4回開催されるものですが、平成30年度最初の「伊香保大会」で『秀作』に選出されたものです(25句/4,674句:0.5%)。
 昨年、「人生初めての手術」となる白内障の手術をしました。このことをベースとして発想した句ですが、言わば事実を述べただけのようなこんな句がまさか『秀作』に選ばれようとは・・・。俳句の世界とは何ともはや不可思議で、空恐ろしいとさえ思う次第です。
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(選者:舘野 豊)

白内障手術に要する時間はせいぜい7分程度ですが、術後の療養ケアが実に厄介。日中の保護眼鏡、就寝時の眼帯着用、毎日4度の点眼等留意点が多々あります。そういう中でも一番困るのは、日常生活で普通に行なっている洗顔、入浴、洗髪等が2週間ほどは思うに任せないことです。  

私の場合、「一日入院コース」を選びました。上記のようなことが事前に知らされていましたので、手術(入院)の前日にはゆっくり入浴し、丁寧に心行くまで髪を洗ったというもの。
簡単な手術とは言うものの、何しろ対象が「目」です。多少の恐怖感のようなものも若干滲ませたといった所でしょうか。

同時に世の中には、もっともっと重い病気で入院・手術を余儀なくされる方も沢山いるはず。
場合によっては、「元気で再びこの家へ戻って来れるであろうか・・・」といったような思いが脳裏を掠める方もあるやも知れない。そのような諸々の方々の入院前夜の心の有り様を慮った句でもあり、その思いを季語「髪洗う」に語らせた。

選者には、この辺の揺れ動く機微を少なからず汲んで戴けたのではないかと。
「髪洗う」は、古くより夏の季語として制定されています。夏は特に、髪が汗や埃で汚れやすく、洗髪後の爽快感には格別のものがあるからでありましょう。しかし昨今は、髪は季節を問わず毎日洗う習慣が根付いていることもあり、季感の薄い季語となりつつあるようです。
S氏

by antiaging | 2018-07-19 22:48 | 俳句で人生観

豊田市の歯科医がお届けする診療日記と患者様作品集


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